『ごろごろ、神戸2』『ごろごろ、神戸3』

『ごろごろ、神戸2』『ごろごろ、神戸3』は2017年5月から2019年4月まで本ブログ管理者である平民金子が執筆し神戸市広報課サイトにて連載されたコンテンツです。現在神戸市広報課サイトに本コンテンツは掲載されておりませんので、このたび神戸市さんのご好意により本ブログへの転載許可を頂きました。記事の著作権は神戸市にありますが、書かれた内容についてはすべて執筆者にお問い合わせ下さい。本コンテンツに大幅に加筆をした『ごろごろ、神戸。』が株式会社ぴあより出版されています。そちらもよろしくお願いします。

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

第36回 なじみの場所に、さようなら

東京から引っ越した理由を聞かれた時にはとりあえず「神戸がおもしろそうだったから」とだけ答えているけれど、もう一つ「なじみの酒場が閉店したから」という、酒飲みにしか通用しないような、けれど私たちにとってはとても大きな理由もあった。三鷹駅南口…

第35回 「迷惑」の置き場所

散歩途中の公園でパンを食べていると、子供が自分のぶんをちぎっては、地面に放り投げ始めた。物を遠くに投げる動作が楽しいのか、えい!えい!とはしゃいで小さなパンくずを投げている。するとどこからともなく鳩がやってきて、それをついばむ。私は、あ、…

第34回 ミッドナイト・スペシャル

最初に黒人音楽に触れたのは二十歳になる直前、ジャズでもファンクでもソウルでもなく、第二次大戦前に吹き込まれたノイズまじりのブルースの録音だった。当時大阪梅田の丸ビルにタワー・レコードがオープンして、町の小さなCD屋しか知らなかった私はデパー…

第33回 商店街の神様

神戸で過ごす3回目の大晦日は、去年おととしと同じように、一年の終わりにお祭りのようなにぎわいを見せる商店街をぶらぶらと歩く事から始まった。この日は食材をあつかうあらゆる商店は家族総出で店頭に出て声を張り上げ、その中を普段からの買い物客だけ…