『ごろごろ、神戸2』『ごろごろ、神戸3』

『ごろごろ、神戸2』『ごろごろ、神戸3』は2017年5月から2019年4月まで本ブログ管理者である平民金子が執筆し神戸市広報課サイトにて連載されたコンテンツです。現在神戸市広報課サイトに本コンテンツは掲載されておりませんので、このたび神戸市さんのご好意により本ブログへの転載許可を頂きました。記事の著作権は神戸市にありますが、書かれた内容についてはすべて執筆者にお問い合わせ下さい。本コンテンツに大幅に加筆をした『ごろごろ、神戸。』が株式会社ぴあより出版されています。そちらもよろしくお願いします。

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

第48回 海に帰す

まぶたを閉じた暗闇の中でしばらく時間を数えて、ふたたびまぶたを開いた時に、一瞬のまぶしさとともに外界の輪郭がよりくっきりするような感覚をおぼえる。外にいる時でも部屋にいる時でも、子供のころからしょっちゅう私は目をつむっていた。ほんの十秒ほ…

第47回 ファンタジー

歩きだしたと思ったらしゃがみこんで、地面に手をあてて。また歩きだしたと思ったらしゃがみこんで、地面に手をあてる。いっこうに進まない足取りに内心いらいらしながら、その動作にいったいなんの意味があるのかと観察してみれば、こけた拍子に触れたコン…

第46回 モトコーにあった中華料理屋の話

元町高架下(モトコー)3番街の中華料理屋「梨園」が3月末で閉店となった。モトコーはいま再開発の話が大きく動き出したところで、あちらこちらの店舗で移転や閉店が続いている。神戸といえば高架下商店街、そんなイメージが私にもあり、引っ越して来たころ…

第45回 おすしはリバーサイド

花見客は皆、楽しそうである。私は毎年彼らの横を歩きながら「なぜおれを呼ばないのか」「なぜおれを呼ばないのか」「なぜおれを呼ばないのか」と四十年の間、問い続けてきた。そのせいか4月には桜ではなくルサンチマンが満開となり、結局花見に一度も呼ばれ…